昭和が香る狸小路で居酒屋寄席 はな家寄席40&41

この日は横浜は西口にある狸小路へ出かけました
この狸小路にある居酒屋さん(おでん屋さん)”はな家”ではひと月おきに落語会が開催されるのです
今回記事は都合により2回分をまとめました

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いつも通りに菊名駅の駅蕎麦(しぶ蕎麦)で腹ごしらえしてから横浜西口へ

開場時刻に昭和が香る狸小路 に到着
腰痛対策で壁際の席に陣取ります

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この日は”はな家寄席”の開催40回目

節目を記念して出演は真打の桂枝太郎さん


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一席目の演目は<狐裁き>でしたが、初めて聴いた噺というのもあって噺の内容を忘れてしまいました
聴いてから時間が経ちすぎたようです
小狐が親狐が止めるのも聞かずお城のお姫様に化けて悪さをしたのですが、バレて捕まりお裁きを受けることに
で、殿様直々のお裁きなのですが、お殿様の様子がおかしい
家来が困惑する中、小狐を無罪放免してしまう
実はこの殿様、親狐が化けていて・・・・って感じだったと思うけれど、自信ないです
オチも忘れてしまったぐらいなので^^;
で、2席目と3席目だけを

<芝浜>
魚屋の勝五郎は、ちょっとしたきっかけから商いに出なくなり、昼間から酒ばかり飲んでいる
見かねた女房に急き立てられ、「今晩思う存分飲ませてくれれば明日から商いに出る」と言った翌朝
早朝に女房に叩き起こされ、渋々ながら芝の魚市場へ向かう準備をする
「行くけど半月も休んで飯台がゆるんで水が漏るだろ」
「魚屋の女房だよ ヒトったらしも水は漏らないよ」
「包丁は」
「そこまでは腐っていなかったね 研いだ包丁が蕎麦殻に入っていて、秋刀魚のようにピカピカ光っているよ」
「ワラジは」、「出ています」
「やけに手回しが良いな」
「仕入れの銭も飯台に入っています やな顔をしないで行っておくれよ ワラジも新しいし気持ちがいいだろ」
「気持ち良かない」グズグズしながら出かけて行った

「磯臭い匂いがしてきたな いい匂いだ、これだから辞められない」
しかしどの店も閉まっていた
増上寺の鐘が鳴っている
カミさんが時間を間違えて早く起こしてしまったのだ
勝五郎は憤慨しながらも、仕方ないので時間を潰すために砂浜に下りタバコを吸っていると、陽が揚がってきた
波の間に間に何か動いている
引き寄せてみると、革の財布であった。
慌てて家に帰ってきた

カミさんが謝るのも制止し、水を一杯飲み
「浜で財布を拾った 中を覗くと金が入っているので慌てて帰ってきた いくら入っている?」
と言う
カミさんと数えたら82両あった
「早起きは三文の徳と言うが、82両の徳だ 釜の蓋も開くし、明日から仕事に行かないで、朝から晩まで酒飲んでいてもビクともしないよな 金公や虎公には借りがあるんだ 存分に飲ませて食わせて借りを返さなくては・・・夜が明けたばかりだから、昼過ぎになったら声掛けるワ、昼まで起きていられないから、残り酒をくれよ」と言う事で一杯やって寝込んでしまった

夕方近くに起き出して銭湯へ
帰りには大勢の友人連れてきて大宴会
そのまま、なんとも良い気分で眠りにつく

翌朝・・・
「ねぇ~、お前さん、起きておくれよ」
「何だ」
「商いに行っておくれよ」
「何で?釜の蓋が開かない? 昨日の82両で開けとけよ」
「82両って何だよ」
「昨日、拾った革財布に入っていただろう」
「何処で拾ったの?

昨日芝の浜で拾った82両があるのだから働く必要はないと勝五郎は言うが、女房は何のことだかわからないと言う
昨日あなたは芝の浜になんて行っていない
起こしたら怒鳴られたので、手荒な事をされるとイヤだから放っておいたら夕方に起きて銭湯に行って、何がめでたいのか友人を呼んで酒買ってこい、天ぷら誂えろ、と言ったが、顔を潰す訳にも行かないから黙って回りで工面して買ってきた 一人ではしゃいで、さんざん飲んで寝てしまったんじゃないか 芝の浜には行ってないよ 酒盛りをしてただけ
夢でも見ていたのではないか、と言われる
「・・・夢か、・・・、子供の時からやにハッキリした夢見る事があるんだよ 82両は夢で、友達と飲んだのは本当なのか やな夢見たな 借金もずいぶん有るだろ おっかぁ~、死のうか」「馬鹿言うんじゃないよ お前さんが死ぬ気になって商いに行けば何の事もないよ勝五郎は、「働かないで酒ばかり飲んでいたいと考えているから、そんなどうしようもない夢を見たのだ」と深く恥じ入り、愕然とする
「そうか 分かった、商いに行く それに酒が悪いんだ 止めた 一ったらしも呑まないよ」
この日から酒を断ち、真面目に働くことを誓い、これから行って来るよと出かけた

人間がガラッと変わってよく働いた
元々腕の立つ魚屋であることから、真面目に働きだすとすぐにお得意様を取り返し、どんどん商いは軌道に乗っていく
それから3年の間に、裏長屋を出て表通りに立派な店を構え、奉公人を抱えるまでになった
3年目の大晦日、掛け取りに急かされることもなく、取り替えた新しい畳の匂いに包まれ、福茶を飲みながらゆったりと過ごす勝五郎と女房
あとは新年を待つばかりの勝五郎に、女房が「聴いてほしい話がある」と切り出す

「お前さん、これから話す事、最後まで怒ったり、手荒なまねはしないで聞いて欲しいんだよ 約束してくれるかい では見せたい物が有るんだよ これなんだけれど見覚えは無いかい」
「汚い財布だな~ ヘソくりかい イイんだよ 何処のカミさんだってやるんだ でも、こんなにやるなんて女は恐いな で・・・・82両も有るぜ」
「その革財布と82両に覚えは無いかい」
「・・・、ある 先年芝の浜で82両入った財布を拾った『夢』を見た事がある」
「その財布だよ」
「なにぃ あの時の金ぇ お前は夢と言っただろ」
「だから怒らないで聞いてくれと約束しただろ 最後に殴ると蹴ると好きにしてイイから ホントはね、拾ってきたんだよ 悪いことした金かと思ったが、そうでもなさそうだし、お前さんが残り酒を呑んで寝てしまったのを幸いに、大家さんに相談したら その金はお上に届けなければ勝の身体が大変な事になる 猫糞がバレれば罪人で高額だから下手すりゃ首が胴から離れちまう 勝には夢だ夢だと騙してしまえ って言われてお前さんには夢だと言たんだ その財布は大家さんからお上に届けてもらったんだよ
夢だと騙したら、酒も断って仕事に精を出し、3年経ったらこの様な店も出来た しばらくして、届けた財布は落とし主が現れず、下げ渡しとなって戻ってきたけれど 元のお前さんに戻られたらと思うと見せられずいたが、今の様子を見ていると大丈夫だと思った ごめんなさい 女房に騙され悔しかったでしょ、ぶつなり蹴るなりしてください」

それを聞いた勝五郎
「手を上げてくれ お前の言うとおりだ あの時使っていれば、お仕置きになって、生きて戻ってきてもコモを被って震えていなければならない お礼は俺の方で言う ありがとう」
「なんだね~、女房に頭下げて 許してくれるんだね 今日は機嫌直しにお酒と好きな料理が二三品用意した有るんだよ」
「ホントだ、好きな物が有るわ やっぱり女房は古くなくてはいけねぇ~ なんだ、お燗がついてる? どーもさっきからいい匂いがしてると思った 畳の匂いだけではないと思っていたんだ ホントに呑んで良いのか 俺が言い出したんじゃないよ」
女房にお酌をしてもらって、3年ぶりの盃を感無量の表情で口元まで持ってくるが、そこで動きが止まる

「どうしたの?飲まないのかい?」
「やっぱりよそうまた夢になるといけない。」

(>▽<*)www


<ラーメン屋>
老夫婦がラーメン屋台を営んでいた
「近頃は若い人がラーメンをよく食べてくれるね 今までは3時頃までやっていたが、今では1時過ぎには売り切っちゃうね まだ売り切れていないけれど今日は切り上げようか」
「まだ早いんじゃないですか」
「もう12時半だよ」
「家に帰ったって孫が居るわけでは無いしね」
「当たり前だ 子供がいないのに孫が居るわけないw
「お爺さん。もう子供は無理かしらね」
「六十八になって子供が出来たら世間の笑いものだ 結婚したての頃は子供の予算を立てていたもんだが・・・神様の授かり物だからしょうが無いよ」
「あの頃に子供ができていたら今は幾つぐらいでしょうかねぇ」
「20代半ばぐらいかなぁ」

閉めようとしていた時、お客さんが来た
「いらっしゃいませ」
年寄りのやっている店ですが、一度来たお客さんは裏を返してくれますよと自慢しながらラーメンを作る店主
「おまちどうさま」
「(小声で)お爺さん、お客さん幾つぐらいだろうね」
「二十二三ってとこかな」
「お爺さんに良く似ていますよ 鼻があぐらをかいて上を向いているところ ほらほら、あの息の付き方」
「バカ婆、誰だって息の付き方は同じだ」

「おじさん、もう一杯お替わりくんないか」
「へい、ありがとうございます」
「嬉しいじゃないですか、初めて来ていただいてお替わりなんて・・・お味はどうでしたか」
「腹が空いていて食べちゃったから、良く分かんなかった」
「おまちどおさま」

「(小声で)お爺さん、盛が悪くないかい」
「そんな事は無いよ」
「若い人が来たら盛を良くするとか・・・」
「そんなバカな事出来ないよ」
「あ~、旨かった」
「どうです?もう一杯」
「じゃ~、もらうかな 昼飯食っていないんだ」
「だったら三杯位御の字ですよ」
・・・・・
「あ~っ、旨かった」
若い男は三杯目もあっという間に平らげた
「食べっぷりが良かったんで、もう一杯食べてくれたら、タダで良いですよ」
「バカ婆、余分な事言うな 女は口数が多くていけませんや」
「おじさん、この近所に交番は無いかな」
「すぐ先に有りますよ」
「俺を交番に連れて行ってくれないか」
「どうしたんです?」
「無銭飲食で突き出してくれ 一文無しなんだ 今晩泊まる宿賃も、明日の朝に食べる食事代も無いんだ ブタ箱はタダだし朝飯も付いている 出たらラーメン代はきっと届けるからな 助けると思って交番に・・・」
「で、商売は何をしているんですか」
「俺はこれと言って決まった仕事は無いんだ」
「親御さんは」
「両親は物心付いたときには死んじゃったんだ 他人の世話になって、中学3年の時、中途退学して工場に通った 自由労務者もしたが家族も家も無いし、真面目に働く事がイヤになっちゃった」
「そうですか・・・その後は聞かなくても分かります」

「婆さん、終わるから支度してくれ」
「(小声で)お爺さん、この人を交番に突き出すのかね」
「(小声で)私に任せておきな」
「お客さん一緒に行きましょう」
「お客じゃ無いいんだ」
「婆さんしっかり押しなよ」
「押してますよ お爺さんが意気地が無くなったんですよ」
「俺が引いてやろう」
「とんでもないお客さんに・・・」
「だから客じゃないって 金無しなんだから 俺に引かせてよ おばさん、押さなくても良いよ」
「じゃぁ家の前までお願いしますよ」
「俺は交番に」
「急ぐんですか? それから交番に行っても良いんでしょ」
「おじさんは屋台は長いんですか?」
「定年退職してから始めたので、今年で十五六年になりますか 7時に屋台を出して3時頃まで商売しますが、最近は売り切れる事も多くて1時か1時半には仕舞います 今日は特別忙しく12時半に終わりましたよ」
「子供は居るのか」
「居ませんよ あの婆と二人っきりです」
「そんなに仕事をしたんでは金が貯まるだろう」
「捨てるわけにはいきませんから貯まりますよ」
「アッ、そこを曲がったとこです、屋台を隅に置いてください はい、そこでいいです ありがとう お茶でも飲んでいきませんか」
「俺は交番に行かなければ・・・」
「慌てる事は有りません あそこは24時間年中無休でやっていますから、お茶ぐらい飲んでからでも・・・」
「さぁ、さぁ上がってください 6畳と4畳半だけです 毎晩飲みますので、一緒にどうぞ」
「俺は交番に・・・」
「急ぐことはないでしょ?」
「お爺さん、用意出来ました」
「(グイグイ)、旨いな~、仕事が終わって飲む酒は旨い ささっ、あなたもお飲みなさい」
「お爺さん、運んでもらった労働賃金はどうなっていますか 人手不足の折り、深夜に屋台引いて貰ったんですよ ラーメン三杯分は、トントンじゃ無いんですか」
「そうだな そうだ、今婆さんが言ってたのを聞いていたでしょ、差し引きにしておきましょう」
「おじさん、それはダメだよ 今晩泊まるところも無いんだ」
「家に泊まって行きなさいよ ブタ箱より良いでしょうから 明日は婆さんが早く起きて暖かい飯を炊いてくれますよ 海苔ぐらい付けますから・・・」
「おじさん、俺はグレタ人間だ 夜中に人間が替わって泥棒でもするかも知れない」
「あ〜、婆さん、今日の売り上げは茶箪笥の上に乗せておいてくれよ 今日、銀行に行くと言ってたが忘れたろう 風呂敷に包んで持ちやすいようにして、茶箪笥の上に乗せておいてくれよ」
「おじさん、俺に泥棒をしろというのかぃ」
「ご冗談でしょ 明日の事を婆に言い付けただけですよ 婆さんは1杯上戸なんだ 寝ると夜中に起きる事は無いんだ 『婆さん、今夜は2杯飲んで寝なよ』 私も飲みますから貴方もグッとやりなさい」

ぐいぐい飲んですっかりいい気分のお爺さん
「あんたに頼みたい事が有るんだがね 聞いてくれないかナ~ 先程も言った様に、子供がいないんだ 隣で『お父っつあん』『おっ母さん』と言う声が聞こえると、無性に羨ましいんだ で、あんたに『お父っつあん』と呼んで欲しいんだ」
「おじさん、俺は生まれた時から『お父っつあん』『おっ母さん』と呼んだ事が無いんだ」
「お互いに初めてで、良いじゃ無いですか」

「お爺さん、そんな事、人様に頼んで良いんですか」
「そんな事言ったって、子供が無いんだから赤の他人様に頼むほか無いじゃないか」
「頼むんだったら、手数料払ったらどうですか。(小声で)お爺さん、金が無いから悪い事するんですよ お金を持たせて帰してあげなさいよ」
「ここに100円あります 『お父っつあん』と言ってくれませんか」
「俺に出来るかな 『おとっ・・』『お父・・・』旨く言えないな~ 目をつぶるよ」
「私も目をつぶって聞きます ではどうぞ」
「『お父っつあ~ん』」
「エヘヘヘ、気持ちいいな~」
「今度は私ですよ 200円出しますから『おっ母さん』と言って下さいな 今みたいに石焼き芋みたいに言わないで、優しく『おっ母さん』と言って下さいな 私が続けて『何だい』と言いますからね」
「『おっ母さん』」
「何だい(涙ぐんで)お爺さん、イイ気持ちだね~」
「今度は俺の番だ あんたの名前呼ぶからね」
「そそっかしいねお爺さん 名前が分からないじゃないですか」
「名前聞いちゃいなかったか 何て言うんだ?・・・安雄さんか、呼び捨てにしますからね 300円ですから・・・『安雄』」
「何だいお父っつあん」
「(泣き声で)300円では安いや もう一度」

「お爺さんばかり狡い お爺さんの専属では無いんですからね 今度は私の番ですよ 500円出しますから、今度は小言を言いますからお願いしますね。『何だねこの子は、夕方だって言うのに何処をのたくって歩いているんだい、お母さんはね、夕飯を食べようと思ってお膳立てしてもお前がね姿を見せないんで心配で心配で喉を通らないよ、安雄』」
「(涙声で)おっ母さんゴメンね」
「イイ気持ちだね、お爺さん」
 「今度は俺の番だ。1000円出すから・・・」
「もう止めましょうよ 私も胸が痛くなってきた こんな事、初めてですよ 止めましょうよ」
「ま、ま、まぁ~ 一晩中やりましょうよ 1万や2万にはなりますよ では、もう一度だけ 今までは目をつむっていたが、目を開いて言わせて下さい 『お父っつあん、ラーメン屋なんかよしてくれよ、俺はもう子供じゃ無いんだからな、俺に任せてくんな』と胸をドンと叩いて下さい 1000円ですから難しくなりますよ」
「『お父っつあん、ラーメン屋なんかよしてくれよ、俺はもう子供じゃ無いんだからな、俺に任せてくんな』」
「安雄、おめえがそ~言ってくれるのはありがたいが、嫁を貰った、孫が出来た、孫にオモチャの一つでも買ってやりたいからな安雄 もう少し俺にラーメン屋をやらしておいてくんな」
「・・・・・・」爺さん、泣き声になって言葉も出ない
「婆さん、良かったな うれし涙にくれるなんて初めてだ アリガトウよ」 
「(泣き声で)金はもう要らないから、俺の話も聞いてくれないかな」
「え~、何ですね」
「これから・・・、ず~っと・・・、『せがれ』って、呼んで欲しいんだ」
「(泣き声で)へへへへ、へぇ。ハハハハ・・・ せがれ・・・」
「何だい お父っつあん」
善人の目に、悪人無しとはこのことでしょう
ラーメン屋という一席でした

(>▽<*)www

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寄席の後は懇親会、会場だった二階席は元の居酒屋レイアウトに
まずはドリンクを選びます 
やっぱり最初はビールかな
喉が渇いているし

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* ̄0 ̄*)ノ口 乾杯
最初はビールで
その後は熱燗に切り替えて
最近は熱燗が凄く美味しく感じるんだよね
歳とったってことかなぁ

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二ヶ月後、再び”はな家寄席”
40回目の次は41回目(そりゃそうだ)
41回目のはな家寄席は雷門音助独演会

<やかん舐め>
日本橋の商家のおかみさんが女中二人をお供にして向島に花見に出掛けた
隅田川の土手を歩いていると目の前を大きな蛇が横切った
実はこのおかみさんは癪持ち
びっくりして持病の癪が出て苦しみ始めた
おかみさんの癪は厄介で普通の癪の薬では効かず、合い薬はなんとヤカンを舐めること
ヤカンを舐めるとあら不思議、どんなに苦しがっていてもケロッと治ってしまう
しかし今は外出先、ヤカンなんて持っていない
しかも近くに茶屋も人家もなく借りることもできない
どうしたらいいのか途方に暮れていると、ちょうどその時ヤカンが歩いてきた
えっ?と見直すと初老のお侍
頭髪が無くピカピカ光った、どう見てもやかんの様な頭を持った人品優れたお侍がお供を引き連れ遊山に来ているのだった
「みてごらん あの頭 ウチにある奥様のヤカンにそっくりな頭じゃないですか」
「まぁ本当によく似ていること」
「あのお侍様に頼んで頭を舐めさせてもらいましょうよ」
「およしなさい そんな馬鹿な事をお願いしたら、無礼者と言ってお手討ちにされてしまうわ」
「お手討ちになる覚悟でイチかバチかお願いしてみます」と言って、一人の女中がお侍めがけて駆け出して行った

お侍はお供とのんびりと歩いて来ると、前方から真っ青な顔をした女が走って来てひざまずき、「お武家さま、お願いがございます・・・」と言うのでびっくり
「どうしたお女中、・・・そうか仇討ちか、手前の神道無念流の免許皆伝の腕前の見せどころ、喜んで助太刀いたすぞ」
「そうではござりません・・・」
「それでは賊に襲われたのか、で、そ奴らはどこにおる」
「お待ちくださいませ、そうではござりません 手前どもの奥様が急に持病の癪を起しまして・・・」
「あぁ、そんなことか。それならばこの薬篭に入っておる薬を飲ませれば・・・」
「それが普通のお薬では効かないので・・・」
「なるほど、その人に合った合い薬というのがあるものだ・・・」
「左様でございます その合い薬と言うのが・・・あの・・」
「あぁ、分かっておる 男の指で強く押すのじゃな わしのこのまむし指で押せば」
「いいえ、それではございません・・・違います あの・・・その・・・」
「あーっ、良い良い、分かっておる 言わんで良い お女中の口からは言いにくいのであろう 男の下帯で身体を巻いてグーッと縛ると言うやつであろう」
「そうではございません 奥様の合い薬と言うのは・・・その~、やかんをなめることです」
「はぁ、やかんをなめる?・・・それがわしとどういう関わりがあるのじゃ?」
「はい、あの、その~・・・あなた様のおつむりが当家にある奥様ご愛用のヤカンによく似ていらっしゃるので・・・頭をなめさせて・・・」
「なにい~!武士に向かって頭をなめさせろとは、無礼千万、聞き捨てならん、そこになおれ、手討ちにしてくれる・・・ん?お前は何を笑っておるのか!」
堪えきれず腹を抱えて笑い出したお供を叱るお侍
女中は更に頼み込む
「お怒りはごもっとも、覚悟の上でございます お聞きとどけなき上はどうぞお手討ちにしてくださいませ」
「なに、手討ち覚悟、手討ちにしろと言うのか 商人風情の奉公人とはいえ、立派な覚悟、・・・それに引き換えお前は武家の奉公人ともあろうに、主人が困っておる時にゲラゲラと笑ってばかりいて・・・この者に恥ずかしくはないのか」
「旦那様、一度ぐれえはなめさせておやりなせえ 人助けになって、減るもんでもねえから」
「う、う~ん、人助けと思って少しだけなめさせてやるか・・・、どこにおるのじゃ、そのおかみさんは」、という事でお女中の一念が通じて、お侍はおかみさんに立派なヤカン頭を差し出すことになった

「これ、まわりを見張って人が来たら近づけるでないぞ・・・」
お供にそう言い、商家のおかみさんの前にヤカン頭を差し出した
意識もうろうのおかみさんは目の前のヤカンのような物体を見て、藁にもすがるように武家の頭をがっしりと抱えてペロペロべろべろ・・・
くすぐったいやら、気持ち悪いやら、時々歯が当たって痛いやら
お供は見張りなんかそっちのけで、笑いっぱなしだ
思う存分なめ足りたのか、おかみさんは癪の痛みが治まってきたようで、恥ずかし気に、「どうもありがとうございます おかげさまで助かりました どうかお所とお名前を」
「なにを言うか またなめに来られてはたまらん」
「そんなこと言わねえで教えてやんなせえ 旦那様の頭は癪の特効薬で、お屋敷尾の横に癪に効く頭ありますって看板を出したらいい商売になる」
「何を申すか(怒)」
「そうではございません 改めてお礼に伺いたいと・・・」と、おかみさん
「とんでもない もうこれからそなたたちとは見ず知らずの赤の他人 道ですれ違っても挨拶などはせんように願いたい」
「参るぞ」と、武家は足早に現場を離れて行く

なめられて洗ってもいない頭はだんだんべたべた、ごわごわして気持ち悪くなってきた
何だがひりひりする所があるのでお供に見てもらうと
「あれまあ、あのおかみさんの歯形がくっきりついてるだ」
「なに、傷は深いか」
「心配ねえ、まだ漏るほどじゃねえ」

(>▽<*)www



2席目の演目は<おせつ徳三郎(上)>
あらすじを書き始めましたが、どうにも面白くないのです
実はこの”おせつ徳三郎という噺は(上)である”花見小僧”と(下)である”刀屋”とに分けられ、今回は(上)ですから”花見小僧”という噺
つまり(上)だけなので噺に明確なオチがなく、中途半端で面白みがないのです
なので、あらすじを書いていても気分が乗らないと言うか・・・・
さらっと書くと
ある大店の年頃の一人娘の”おせつ”さん、見合いを幾度もすれど、あれがダメ、これがダメと我儘言って一向に話がまとまらない
そのうち旦那は店の奉公人の”徳三郎”とデキているという噂を聞く
背後には婆やがいて、いろいろ手助けをしているとか
その噂を確かめるために向島の花見にお供を婆やとした定吉を呼び、お灸で脅したり褒美で釣ったりして花見での話を聞こうとする
なんとか状況証拠を掴んだ旦那
そうなると旦那としては定吉は用済み
約束を反故にして部屋から追い出し、徳三郎を呼びつけ暇を出した
・・・
ねっ、オチがないでしょ
なのであらすじをどう書くか考えていても面白くないからあらすじは書きませんw
ちなみに(下)では徳三郎、いろいろあってお嬢さんと川に身を投げます
でも二人とも助かってオチの一言になるのです

<火事息子>

江戸は火事早い所と言われます。神田の質屋伊勢屋の若旦那・藤三郎は小さい時から火事が大好き
年頃になると、半鐘が鳴ると掛けだしていって家には居なかった
町内の頭のとこに行って、火消しにしてくれと頼んだが、立派な若旦那だからと断られた
回状が回っているので他の頭のとこに行っても同じで火消しにはなれない
考えあぐねて、かなり柄の悪い火消し屋敷に入ってしまい親から勘当を言い渡された

旧暦の11月寒風吹く北風の中、伊勢屋さんの近くで火事があった
頭に藏の目塗りを頼んだが、風上だから我慢してくれと断られた
商売上目塗りをしないと信用に関わるからと、番頭の佐兵衛に頼んだが仕事違いでハシゴから手が離す事もできず目塗りどころではない
そこに、遠くで見ていた臥煙(がえん)が、屋根から屋根へパパパパッっと平地を走るように、猫が飛ぶようにやって来た
藏の折れ釘に佐兵衛の身体を支えさせ、両手が使えるようになった

火事も収まり、ホッとしていると、火事見舞いの客がごった返した
親の代理で見舞いに訪れた、よその若旦那をみて、藤三郎と比較して愚痴と涙が出るのであった

折れ釘から降りてきた番頭は「先ほどの火消しにはたいそう世話になったから、ご主人から会ってお言葉を掛けて欲しい、という
ご主人は「商売とは言え屋根から屋根へ見事な身の軽さだった お手伝いしていただいた方だから、もし質物があるのならそのまま出しておあげ」
「いえ、・・・実は、あの方は勘当になさいました藤三郎さまです」
「なんて危ないことを・・・、怪我でもしたらどうするんだ あッ・・・いや、他人様だから関係ない だから勘当した奴だ、他人だ、会いたくない」
「でも、赤の他人様ですから、この様な時にこそ会って、お礼をするのが人の道ではありませんか」
「それも尤もな・・・ 分かりました、会いましょう」
 
台所の隅で役半纏一枚で小さくなっている藤三郎であった
通り一遍の挨拶と感謝の言葉を述べ、藤三郎もそれに応えた
しかし、全身の彫り物に毒づき、親の顔に泥を塗ったと言葉はキツイ
お礼も言ったし、用もないから引き取れとつれない
「では・・・、帰ります」
「チョットお待ちな、このまま帰って貰ったと後でバレたら何と言われるか」
と、奥さんを呼ぶ
そこに猫を抱えた母親が出てきた
「猫は火を見ると床下に逃げると言うから、焼き殺してはいけないと思ってず~っと抱いているんだよ」
「ここにいらっしゃるのは若旦那様です」と番頭
「猫なんてどうでもいい 藤三郎かい いつもお前のことを話して居るんですよ 寒そうにして あの結城の着物をこの子に着せたらさぞ似合うことでしょう この子にあげたい」
「やることはならない やるくらいなら捨てろ」と、旦那さん
「捨てるくらいなら、やっても良いじゃないですか」
「解らないやつだ 捨てればこいつが拾っていく」
「解りました、箪笥ごと捨てます」
「そこまで捨てる事は無い」
「この子は粋ななりも似合いましたが、黒の紋付きがよく似合いました いつか親の代理でお年始回りをした時、芝居に出てくるような綺麗な若旦那と評判になり、『この子の親はどんなんだろう』といわれ、『私です』と言って、笑われた事がありました これに黒羽二重の紋付きを着せて、仙台平の袴をはかせ、小僧を連れてやりたいと思います」
「こんなヤクザなやつに、そんな格好をさせてどうするんだ」
「火事のお陰で会えたのですから、火元に礼にやりましょう」  

(>▽<*)www


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で、寄席の後は懇親会

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* ̄0 ̄*)ノ口 乾杯
最初はビール、その後はひたすら熱燗なのはいつもの通り
ここの持つ煮込み、美味しいんだよね
おでんは京風で薄味なのがデフォなのですが、この日は関東風でした
自分はこっちの方が好きだなぁ
味が染みていて
おでんは玉子があればめっちゃ嬉しい

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ケーキ、結局作りました


苺を3パック分、フルに使ってのカスタードムースケーキ

完成後寝かしていたら

何故今食べないの?今食べないと食べる時間がないと奥さんがキーキー騒ぎます

寝かせた方が味が落ち着くんだ

オマイの都合に合わせて作っちゃいないんだよ

食べる時間がないなら食べんでよろしい

別に食べて欲しいと思っている訳じゃない

よかったらどうぞって程度のスタンス

食べないならそれはそれでいい

ホール食いができるこの体

食べられる量が増えてラッキーって思うだけだし

(そもそも自分が食べたいから作るわけだから)


そう言い放って寝かし続行

夜、食べる時間がないと言ってたけれど何も言わずに食べてましたw

(詳細は近日中に)


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<記事に関係のない政治的内容のコメント及び宗教的内容のコメントは削除させていただきます>